2009-01-01から1年間の記事一覧

エロゲの話とかどうでもいいから東儀白ちゃんのかわいさについて考えよう。白ちゃんはマジ革命。あるいは能美クドリャフカについて。クドリャフカというキャラはそれまでのKeyの世界とは異質である。まず外見が明らかにアンチいたるだ。そして中身はアンチ麻…

パンチラ試論

前回の内容的には続きでないけど意識的には連続です。 Keyのエロゲ史における画期がパンチラの排除にあったことはよく知られている。だからこそ僕たちは『リトルバスターズ!』が発表されたとき小鞠のパンツに涙した。一つの物語が終わった。それに比べれば…

ゼロ年代美少女ゲーム論やりたいなあ

僕は「リトルバスターズ!」を作品として評価していない。しかしこの作品はやはり偉大であるといわざるを得ない。この作品はそれまでのKeyの作品と多くの面で異なっている。たとえば主人公の直枝理樹(この名前と久弥直樹の関連性というのは無理があるとして…

「5M Vol.3」のお知らせ

来る12月6日(日)に大田区産業プラザPiOで開かれる文学フリマで、オタク系評論同人誌『5M Vol.3』(発行:サークルファイブエム、頒価:500円)が委託頒布されます。委託先は「ぼっちーず」(ブース:R-5)です。 僕も十文字青特集でレビューとちょっとし…

偽史

かつて、「純愛対鬼畜」という今では痕跡すら残らないひとつの戦いがあった。僕はそれを見ていた。つまりはゲームジャンルの好みを巡る争いであり、もちろんそれだけではなかった。僕たちが唯一持ち得たイデオロギー闘争だった。大きな物語の失効、不可能性…

「モロイ」

まあほぼ藤原氏のブログなのだが。jkあれはライトノベルより文芸誌とかに送ったほうが評価されるだろう。 読みにくさはつまり連続性の欠如。生じようとするそれはうたかたのように消えていく。つながっている文章の内容がつながっている必要はないのだ。これ…

反復のためのはじまり

ipodで音楽をリピートする。イヤホンをつけると「流し込む」という感が強い。繰り返される音楽を僕はもう知っている。なのになぜ聞くのか。繰り返すのは一つの根元的な快楽だ。Font-da.新しいものは恐怖でしかない。音楽が(また)始まる。聞き覚えた音。そ…

ネット上の時間と空間・続き

http://twitter.com/suyera/status/6131157131 「下級生」とふぁぼったーの比較というのは実のところ僕がこの前書いたエントリと関係している。「下級生」では学校や街のどこかにいるヒロインと出会って会話することで好感度が上がる。つまり偶然の積み重ね…

エロゲーにはかならずそういうシーンがあることになっている。だからプレイヤーはそれがいつか到来することを知っている。なのでプレイ中はいつ来るかとドキドキしている。実際に来たならばもうなんでもない。お化け屋敷で怖いのはいつお化けが出てくるかわ…

時間と空間の基礎

ネットだと地理的な距離はほとんどの場合無視できる。なら残る差異は時間になるが、その時間は距離と結びついていないから、伸びるのは少しずつ伸びるけど、縮まるときは一瞬でゼロになる。ならそれは長さのない距離と捉えるべきであって、時間は内部にのみ…

非言語的ディアレクティーク

いわゆる肛門ディアレクティークと一般的ディアレクティークは見かけがそんなに変わらない問題。だから経験したことのない人間には違いがよくわからない。口腔ディアレクティークとかなら固着したリビドーがあるので経験を抜きにしてわかるんだけど。つまり…

一応萌え4コマの話か

http://twitter.com/gottos/status/4835500903 http://twitter.com/gottos/status/4835599700 あたりを読んで触発されたんですが、(勝手に持ち出してごめんなさいごっとさん) 僕が http://d.hatena.ne.jp/ilidim/20090331/1238429916 とか http://d.hatena…

ライトノベルライトノベルを手がかりに、すこし考えてみました

このエントリはちょっと調子を変えて書きます。一応毎回スタイルは考えているつもりなんですが。 なんか最近感じたこととして、僕が一部の人たちとコンテンツについてしている話は最悪なんじゃないかと。悪いというのはどんづまりに向かっていて、未来がない…

論理的であること

数学や論理学はどんなにその体系が堅牢に見えようとも論理的ではない。論理的とは始まりが終わりと等しいことだ。その世界ではあらゆる人がすべてを理解する。本格探偵小説は論理的であることをその至上命題とし、正答率100%を理想とする。決して簡単なので…

まあtwitterとかはどうでもいいんだけど

いま一番萌えるのはtwitterであると断言しよう。 かつては萌えるにはストーリーによってキャラを了解可能にする必要があったが、もはやそれは前提となっているのでストーリーは不要である。というか邪魔ですらある。ストーリーの要請はいちゃいちゃと衝突す…

闘争のための指針のひとつ

「けいおん!」に対して、「こいつら全然音楽の練習してないじゃないか」などと言いたがる「良識派」はいったい何を守ろうとしているのだろう? 彼らは近代的労働イデオロギーに従っているのだろうが、彼らがそうするのに利点などない。ひたすら働いても幸せ…

コンテンツ産業論

タイトルの「コンテンツ」というのは色々あるが、マンガ、アニメ、ゲーム、ライトノベルなどのいわゆるオタクカルチャーがかなり中心的に扱われている。で、この本は東京大学出版会が出したものである。つまり最高学府の東大がオタクを学問として扱おうとい…

恋愛メモ

現代の恋愛ものは恋愛は不可能だという認識を前提としている。 恋愛はあらゆる状況を超えて運命的なものなので恋愛に正しい論理的過程は存在しない。だから恋愛を描くことに説得力は根本的に存在しない。おそらく現代では恋愛の対象化が進んでいるため本質が…

条件付運命論

前回のエントリと関連する話。実に誰得ですがこういうことを考えるのは嫌いじゃないのです。理想的コミュニケーション空間というのは皆仲がいいのですね。 「けいおん!」みたいな。しかしアニメ「けいおん!」の人気カプとか見ると世の中堕ちた運命論者ばか…

ねこにゆーり

人間が苦手で猫が大好きな少女ゆーりと、彼女の幼なじみのセラ、同じく幼なじみでゆーりに恋する少年あっちゃん、あっちゃんに恋する少女あさひら、ねことゆーりを取り巻く人々を描いた4コママンガである。 帯に「ネコがスキなキミがスキ」とある。ゆーりに…

『ヴァンパイアノイズム』についてのメモ。

ちゃんと書こうとして失敗したので、断片的。十文字青はあとがきでこの小説を「十代、二十代の方々に届けたくて書いた物語」だと語っている。現代もので、ファンタジー要素がなく、高校生を主人公にして、思春期の悩みをテーマとしたこの小説は作者の代表作…

古野まほろと読者とネタ

『天帝のはしたなき果実』の中にはさまざまなネタが含まれています。たとえばミステリ、サブカルチャー、吹奏楽、オペラ、外国語など。読者は吹奏楽をやった経験があれば吹奏楽の描写に記憶を掘り起こされ、Zガンダムが好きであればハマーンさまがどうこうい…

俺の妹がこんなに可愛いわけがない2

今回はかるーいかんじで書きます。※完全にネタバレです。 一作目が好評で続編が作られることになったシリーズものの二作目というのはわりと一作目の正統進化形であることが多いです。自転車創業で買ったちっさな本にもそんなことが書いてあった。で、この作…

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

※ネタバレです 伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のなかで中心になるのは主人公の高坂京介と妹の桐乃の関係である。二人の関係は(おそらく現代日本の一般的な高校生と中学生の兄妹関係がそうであるように)あまりよくはない。それどころかむ…

翻訳学入門

翻訳学入門作者: ジェレミー・マンデイ,鳥飼玖美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2009/05/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (11件) を見るタイトルどおり翻訳学 translation studies の入門書で、僕はこの分野について…

ヒーローに、なれません

(当初このエントリは前回のエントリに追加する形で書こうと思いましたがその内容ゆえにスターを下さった方々に申し訳が立たない気がしましたので新規のエントリとして書き起こします) 前回のエントリにきらら5月号が云々と書きましたが、そこで実物を引っ張…

自分語りと見せかけてゆゆ式論

ネット上で大人気のアニメ「けいおん!」に対してのありふれた、そしてある程度的を射た突っ込み。「音楽してないじゃん」 つまり女の子のキャッキャウフフが大事なんだから音楽とかどうでもいいんだよ!という反論? 反論。音楽は本当にどうでもいいのだろうか? け…

批評を書くためのレッスンそのⅠ 誰にでも書ける文章を書こう

文章が書きたいので練習してみます。すごい当たり前の内容な気もしますがとりあえず気にしない。 なにについて書こう。そうだ。ライトノベルについて書こう。今頭の悪い人はライトノベルについて語るものです。翻訳が必要ないから。(もちろん「ライトノベル…

ゆゆ式

超絶人気漫画『ゆゆ式』について とりあえず基本的なところを確認しておきましょうか。言語ゲームについて。人間の会話はルールを持っている。しかしそのルールを正確に捉えることは難しい。たとえばP13のしりとり。「わいえむおー」に続き、「おモチ」、そ…

古野まほろ『天帝のみぎわなる鳳翔』が二月にやっと出るそうなので思いつくままに褒めます。『天帝の愛でたまう孤島』が出て一年以上たつけどいまだにあれほどの小説に出会えてないのでもうずっとまほろのことを考えている。『天帝のはしたなき果実』はもう…