OL進化論

OL進化論(28) (ワイドKC)

OL進化論(28) (ワイドKC)

この作品は手塚治虫文化賞をとるちょっと前、二十巻あたりから急激に進化したと思う。社会風刺、特にジェンダー批評において、まったく毒がないのに、ああそうだよなと納得してしまう恐ろしい切れ味を身に着けた。それを象徴するのが「35歳で独身で」のシリーズだろう。男はレギュラーキャラの田中さんとその友人、女は毎回異なる名前もない使い捨てキャラが登場し、結婚に対するアンビバレントな思いを描き出すこのシリーズは現代の日本社会の様相を飽くまでユーモラスに、しかし驚くほどのリアルさで語りかける。珠玉の非モテ漫画とかロスジェネ漫画と呼ぶことも可能であろう射程の広さを持っている。
そういえば、「社長秘書玲子」のシリーズがないのはどうしてだろうか。あれ好きだったのに。