文学の権利 大学読書人大賞によせて

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

本屋で見かけたこの本の帯に、大学読書人大賞第5位ということが書いてあった。
大学読書人大賞 公式ホームページ
http://www.jpic.or.jp/dokushojin/
ブログにこのことが書いてありますね。光文社発行の「幼年期の終わり」にもこの賞関係の帯がついているらしい。
本屋大賞と同様ににこれも少々うざったく感じた。なんでかっていうとその賞や大学の文芸サークルに小説の良し悪しを決める権利を持たせたくない。小説の良さって難しくてなかなか決められないのでいろんな人の意見が対立する。みんな自分がいいと思う本が真にいいとおもっている。その中で一部の人の意見が賞として固まってそれが理由で本が売れたりするのはそれ以外の人にとっては面白くない。しかもそのお墨付きを与えるのが有名で認められている人ならともかくどこのものだか分からない大学の文芸サークルの人間なんかにどうしてそんな権利があるのか、と思ってしまう。文芸サークルの人間が小説を分かっているという根拠なんて何もないわけだから。加えてそれに出版社や書店が乗るというのがまた嫉妬心をあおる。僕の大学の生協でもこの賞のフェアみたいなのやっていた。要するに僕がいいと思う本が売れればいいのだが。選んでいるのが大学生という自分に近い人種なので身近に感じてむかむかしてくる。
しかしじゃあそういう賞がなかったら売れる本、良い本を誰が決めるのかというとそれはメディア戦略であったり文壇の人たちが決める文学賞であったりするということを考えるとオルタナティブとしてあってもいいのではないか。政治のあり方だって理想としては哲人王による独裁だが実際は妥協して民主主義にしているわけだし小説のよさも何が正しいか合意が得られないのだから出来るだけいろんな人の意見が可視化されるような環境を作ってあとは結果が判断してくれる、というふうにするしかない。だから大学読書人大賞も存在していい。そこで評価されないようなものを評価する別の賞が出来たらもっといい。あと、本屋大賞のウザさは人が本屋で本を買っていることから来ているのでほかのところでも買えたらいいのではないか。